シュークリームを食べ始めると、何やら足元から視線を感じる。
そう思った時にはすでにワンちゃんに完全ロックオンされているなんて事ありますよね。
いくら無視しても一途に見つめ続けられ、ダメだとわかっていてもあの迷いのない目を見ていたらひと口くらいあげたくなるものです。
間違って指まで食べられそうになることもしょっちゅう。
しかも、少し食べたくらいじゃ全然納得してくれません。
少しくれたという事は逆に勝機ありだ!と勘違いして余計にじり寄ってきます。
とても可愛らしい姿ですが、これは普段のご飯の量が足りないからなのでしょうか。
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犬はどのくらい食べれば満足するのか
猫には『猫またぎ』という言葉があるほどまずい物は食べませんし、食に関してはかなりこだわり派です。
でも犬は味わっているのか分からないほど早食いで、ほとんど丸呑みです。
さっき自分のフードを食べたところなのに、もうお腹すいてるの?ご飯足りてないのかな?などと不安に思ってしまいます。
では犬はどのくらい食べれば満足するのでしょうか。
例えば先ほどのシュークリームであれば丸々1個与えても、決して満足はしません。3個与えた場合も同様に満足はしません。
さすがに3個目は人間でも残しそうですが、彼らはひたすら胃に入らなくなるまで食べ続けるのです。
カロリー的には十分足りすぎているので、犬は満足する量と適正なご飯の量が違うという事です。
これはザ・犬の特徴で犬の祖先であるオオカミの血がそうさせているからです。
犬の食性
なぜずっと欲しがるのか。
それはオオカミ時代の狩りと食べ物に対する性質『食性』に関係しています。
オオカミは大型のシカやバイソンなど自分よりもかなり大きな動物を獲物としていました。
当然ながら大きな獲物はオオカミでも1頭では仕留められないので、必然的に何頭かでチームを組んで戦うことになります。
これを『群捕食者』といいます。ゲームに例えるなら、数人のチームで巨大モンスターを狩りにいく感じに似ています。
しかし、巨大モンスターなので見事に一回で仕留められる事はほとんどなく、失敗の回数の方が多いくらいです。
立て続けに狩りに失敗したら、走り回った分お腹はすくばかり。究極の空腹状態です。
そして次に狩りをしても絶対に仕留められるという保証もありません。こんな日常を祖先から繰り返してきた彼ら犬は常に飢餓と隣り合わせでした。
すると彼らは『次に食べ物にありつけたら死ぬほど喰ってやるー』とか、『また狩に失敗したら困るから食べれる時に喰いまくってやるー』と食べる事への執着心が強くなり食べられる時に食い溜めしたいと思うようになります。
犬は間欠採食者
常に空腹を感じて生活していた犬は『間欠採食者』と呼ばれ、一回の食事から次の食事までの間が長くあいてしまう食べ方を長きに渡りしてきました。
これが犬ならではの特徴的な食性です。狩りをしていた時代は数日間食べない等ということもあったでしょうが、現在では1日1回から2回食べれば回数的には十分です。大人のいぬであれば、人間のように1日3食も食べる必要は全くありません。
間欠採食者の思考回路では、『明日は急にご飯が貰えないかもしれないから、今このシュークリームをひと口でも多く、そして限界まで食い溜めよう!』という発想になります。
家庭犬なら、明日のご飯どころか今日の夜ご飯もしっかり貰えますがそんな事は関係ないのです。まさしく、今を精一杯生きてる!感じですね。犬は自分の本能に従ってカッコよく今を生きているのですが、人間からみるとただの食いしん坊とは少々失礼な話かもしれません。
また、飼い主さんがこの食性を知らずに食べ物を与え続ける事で肥満になる犬が増えています。先ほどもありましたが、満足する量と適正な量は違う事をよく覚えておきましょう。
おねだりされても、決してご飯が足りない訳ではありません。特にオヤツなどは無限に食べてしまいますので、1日のフードの約20%以内にとどめ与えすぎないように注意しましょう。
犬の食事は早食い、丸呑みでも大丈夫
犬が早食いである理由もこの食性が影響しています。
チームで仕留めた獲物は力の強いリーダーから順に食べますが、いつ下克上が起こるかも分かりません。
ちんたら食べていると隙をついて他の犬に餌も地位も取られてしまいます。
その為、早食いにならざるを得なかったようです。
犬は早食いだけでなく、丸呑みで物を食べます。
人間なら、ホットドッグの早食いフードファイターのレベルです。
1回も噛まずに掃除機みたいに飲み込む子もいます。
犬には正常な食べ方なのですが、これは犬と人間の消化の違いに原因があります。
人間は噛むことで唾液が分泌され、唾液中に含まれる消化液が消化を助ける働きをしています。
一方犬は、唾液には消化液が含まれておらず、よく噛んで唾液を分泌させる必要がそもそもないのです。
ただし、噛まずにのどに詰まらせる事はあるので、まったく噛まない食べ方をするワンちゃんは粒の大きなものは避けるほうがいいでしょう。
以前、動物病院に来られた飼い主さんに『うちの子は本当に早食いだから、もっとよく噛んで食べなさいって毎日怒ってるのよ』と相談された事がありました。
きちんと食性を説明したら『じゃあ、明日からは怒らないようにしなくちゃ』と言って帰られましたが、よく噛んで食べろという言葉も分からないだろうし、ゆっくり食べる必要もないので、無視してガツガツ食べる犬と怒る飼い主さんを想像したらかなりシュールで、帰り道に思い出して笑ってしまいました。
今回、犬の狩りはモンスターをチームで狩る群捕食と紹介しましたが、猫は1対1のタイマンファイト系です。
しかも相手のレベルをイージーモードにしています。猫もとても興味深い、狩りと食性を持っていますので、次回は猫の食性についてもご紹介したいと思います。