子犬のお散歩デビュー。多くの飼い主さんは漠然と「ワクチンを打ち終わるまでは外には出せない」と考えているのではないでしょうか?
しかし、子犬の頃のしつけで一番大切な社会化教育は、家に来たその日から始まっていて、ワクチンが打ち終わるおよそ生後4か月過ぎまで家の外に出た経験がないと、社会化教育の一番大切な時期を見逃してしまうこともあります。
今回の記事では、子犬の散歩デビューのタイミングやその方法について説明していきます。
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将来の性格に大きな影響を与える「社会化期」
子犬の頃からの社会化教育は、人との絆形成や問題行動の予防にとって非常に重要です。特に、生後3週齢から12週齢は社会化期と呼ばれ、成長後の嗜好性や愛着を一番形成しやすく、様々な刺激や場所へも慣らしやすい時期です。
もちろんピークを過ぎた12週齢以降もすぐに社会化ができなくなるわけではありませんが、ピークを過ぎてからは警戒心や恐怖心、個性に応じた自我などが強まってくるため、社会化期の時期に比べると徐々に様々なものに慣れづらくなり、飼い主さんにとって不適切な問題行動が発達し始めます。
生後8週齢までは母犬や兄弟犬と育てることが重要なことから、飼い主さんのもとに子犬が来るのは8週齢以降になるため、社会化教育を行うピークの時期はわずか4週間しかありません。
そのため、ワクチンが終わる生後4ヵ月頃まで家の外に出た経験がないと、成長してから人や他の犬、様々な環境に対して過度な恐怖心を持つようになってしまうこともあり、散歩に出かけることがストレスになってしまうこともあります。
ワクチンが終わる前のお散歩の仕方は?
前述したように、社会化期に散歩を通じて家の外の様々な環境に慣らすことは大切ですが、かといってワクチン接種が終了する前に散歩に出かけ地面を歩かせたり、他の犬に接触させたりしてしまうと感染症がうつる危険性が高まってしまいます。
そのため、ワクチンが終了するまでは直接地面を歩かせたり、他の犬と接触させたりはせず、クレートやキャリーバック、スリングなどを利用して散歩に出かけるようにしましょう。
ワクチンが終わったら少しずつお散歩に出かけよう
ワクチンが完了し獣医さんの許可が出たら、少しずつ歩いて散歩をしてみましょう。
初めのうちは長時間の散歩は避け、距離も少しずつ長くしていきましょう。
また、交通量や人ごみの多い場所は、慣れていない子犬にとっては非常に脅威に感じてしまうこともあります。「耳が後ろに傾く」、「腰が引ける」、「歩きたがらない」などといった怖がるそぶりが見られた場合は、無理に慣らそうとすると更にその場所に対する恐怖心が増してしあうこともあります。
子犬の様子をよく確認し、怖がるようであれば抱き上げてその場を回避し、静かな場所から徐々にいろいろな場所を歩けるように慣らしていきましょう。
飼い主さんだけでなかなか慣らすことが難しい場合は、恐怖心が強くなる前にすぐに専門家に相談するようにしましょう。
子犬の散歩で気を付けること
散歩を始めたばかりの子犬は、まだまだ回りの環境に慣れておらず上手に歩くこともできないため、ちょっとした隙に危険な状況に陥ってしまうことがあります。飼い主さんは次のような点に気を付けながら注意して散歩しましょう。
散歩中の誤食に注意!
子犬の頃は好奇心が非常に旺盛で、特に初めて歩く外の世界ではいろいろなものに興味津々です。
人間の赤ちゃんと同じように、子犬も初めて見たものを口に入れて確認しようとしますが、犬の食道は飲み込みやすい構造になっているため、飲み込んでは危険なものを口の中に入れた際、うっかり飲み込んでしまうことがあります。
そのため、散歩中は
- 子犬から目を離さない
- 危険なものを口に咥えないよう瞬時に対処できるようにリードは長く持ちすぎない
- 口に入れて危険なものが落ちていそうな場所は避けて通るようにする
- 大好きなおやつやフードなどをあげながら飼い主さんに意識を促しながら歩く
など誤食しないように細心の注意を払いながら子犬の安全を確保してください。
万が一口に何かを咥えてしまった場合、口元に大好きなおやつやフードを鼻先に持っていき匂いを嗅がせてみましょう。
口に咥えたものを放して食べようとするので、食べている隙に離したものを回収してください。慌てて大きな声を出したり、口の中に手を突っ込んで無理やり取り上げたりするようなことは避けましょう。
犬はびっくりして余計飲み込もうとしてしまったり、次に何かを咥えたときに守ろうとして威嚇するようになってしまうこともあります。
おやつやフードを持ち歩いて散歩することは、誤食を防ぐ時だけでなく歩調を合わせて歩く練習のご褒美としても利用できるので、飼い主さんはフードポーチなどに入れて持ちあるく習慣をつけましょう。
もし誤飲してしまった場合は、必ずすぐに最寄りの動物病院で診察を受けましょう。
引っ張って首が閉まらないように注意!
首輪にリードを付けてお散歩するのが一般的ですが、好奇心旺盛な子犬はまだまだ飼い主さんの歩調に合わせることは難しく、興味を持った対象に引っ張って近づいていこうとします。
その際、勢いよく飛び出すと犬の気管が閉まってしまい、気管虚脱や呼吸困難といった怪我を負ってしまうこともあります。
また、首が閉まらないようにリードを伸ばし、犬に合わせて歩いてばかりいると、周りの人たちに迷惑をかけてしまうばかりでなく、犬も危険な目にあってしまうこともあります。
そのため、子犬の頃からハーネスを付ける練習をし、ハーネスにリードを付けて散歩をすれば引っ張りから子犬の体を保護することができます。
特に、引っ張る力が強い場合は飼い主さんにも負担が大きくなるため、引っ張り防止用のハーネスを利用すれば、飼い主さんも子犬も負担が少なく安心して散歩を楽しむことができます。
ハーネスで散歩をしたとしても、首輪は別途装着するようにしてください。
万が一、ハーネスが抜けてしまった際、首輪がついていないと保護することが難しくなってしまいます。
また、鑑札と狂犬病予防接種済表は犬に装着することが法律で義務付けられていますので必ず装着するようにしましょう。
子犬の頃のお散歩は社会性を身に付けるためにも非情に重要ですが、飼い主さんも子犬も初めてのことなので不安なことも多いと思います。
もし、わからないことや難しいことがあれば、飼い主さんだけで不安な気持ちを抱え込まないで、パピークラスや子犬の幼稚園などを利用することでトレーナーなどに子犬育ての相談に乗ってもらいましょう。きっと、飼い主さんもワンちゃんも楽しい生活を送れると思います!